愛知のいま(愛知県平和委員会)

1.敵基地攻撃能力と愛知

空中給油機

すでに配備されているものでもそれなりの敵基地攻撃をできる

「空中給油」は長距離を移動する海外派兵や敵基地攻撃を前提としたものです。小牧基地には空中給油機KC767Jが2010年から4機配備されています。また、C130H輸送機を改造し、空中給油機能を追加したKC130Hも配備されています。これにより自衛隊機だけでなく、米空軍機、米海軍機、米海兵隊機への給油が可能になりました。戦闘中の米軍機に給油すれば、小牧基地が出撃基地として攻撃対象になります。

攻撃に向かう戦闘機は、空中給油によって途中の経由地に着陸することなく、目的地まで直接飛行できるようになります。また作戦地域で長時間連続して滞空することが可能です。

戦闘機や輸送機には最大離陸重量の制限があるため、長射程のミサイルや爆弾を最大限搭載すると、燃料を満載することができません。ステルス戦闘機F35Bは、空母「いずも」や「かが」に搭載されますが、空母の短い甲板から発艦するためには、燃料を減らして離陸した後、空中給油が必要になります。

KC767Jから給油を受けるF15J戦闘(航空自衛隊ホームページ)

C130H輸送機

草地に着陸するC130H(岐阜県平和委員会)

C130Hは、小牧基地だけに配備されています。プロペラ機の特性を生かし、短い滑走路や未舗装の滑走路、草地でも離発着が可能な輸送機で、岐阜基地(各務原市)では、地面ぎりぎりのところを飛行する「スルー飛行」や不整地着陸訓練を行っています。これらは戦場を想定した訓練で、スルー飛行は地上軍への物資の投下補給、不整地着陸は兵士の救助や救出などに行われる危険がある訓練です。

また、C130Hは敵のレーダーをかく乱するチャフ(金属片)や熱源を追尾するミサイルを誤誘導させるフレア(高温の火の玉)の放出訓練も行っています。小牧空港でのタッチ・アンド・ゴーや低空での急旋回も敵からの攻撃を避けるための飛行で、これも戦闘地への海外派兵を前提としたものです。実際にイラク戦争では小牧基地から派兵されたC130Hが、米軍の武装兵を戦闘地域に輸送し、名古屋高等裁判所で憲法違反の判決が出されました。

また、2016年には南スーダンにも派遣されています。

F35戦闘機

自衛隊はアメリカからF35Aを102機、F35Bを45機購入しますが、Aタイプは小牧基地に隣接した三菱重工小牧南工場で組み立てと試験飛行を行っています。

F35は敵のレーダーに映らないステルス性が特徴ですが、専守防衛には必要のない機能です。敵に察知されず、敵の領土に深く侵入し、攻撃を行うのがこの戦闘機の役割です。

従来の自衛隊機にはなかった空対地ミサイルを搭載でき、敵基地から数百キロメートル離れた場所から発射できる「スタンド・オフ・ミサイル」も搭載します。

Bタイプは空母に艦載し、敵の領土近くから出撃するため敵基地攻撃能力がより高い戦闘機です。沖縄県石垣島など南西諸島に配備されるミサイルは、離島防衛が目的としていますが、長距離射程のミサイルを配備すれば中国本土が射程に入ります。日本が基地攻撃能力を高めることによって、近隣諸国に不安と緊張を与え、軍拡競争の悪循環をもたらしています。

スタンド・オフ・ミサイル

離島侵攻を試みる艦隊などに対して、相手の射程外から発射できる長射程のミサイルとしている。世界的には極超高速ミサイル(マッハ5以上のミサイル)の開発を急いでいる、ロシアはマッハ20のミサイルをすでに配備したとしています、中国もマッハ6のミサイルを開発中。極超音速ミサイルは防御不可能と言われています、これを防ぐためにも敵基地攻撃能力を持たなければというのでしょうか?

長距離ミサイルを持つということは敵基地攻撃=先制攻撃能力を持つことを意味します。憲法9条を持つ日本で許されてよいのだろうか。

自衛隊が現在所有しているミサイルで射程距離が長いのは航空自衛隊の空対艦ミサイルASM-2 射程距離170km、海上自衛隊の艦対艦ミサイルSSM-1B射程距離200kmなどで敵基地攻撃能力は限定的。

日本はスタンドオフミサイルJSM(ノルウェー)を2019年度から予算化し(19年度79億円、20年度136億円、21年度172億円)輸入、22年度末に配備する。JSMはF-35搭載用の対地・対艦ミサイルで射程500km。

他にアメリカのJASSM(F-15搭載・対地・射程900km)、LRASM(F-15搭載・対地対艦・射程900km)も導入を予定している。

スタンドオフミサイルの国内開発では菅政権は2021年度予算で12式地対艦誘導弾(三菱重工、射程距離200km)を改造し射程距離900km、将来1500kmにする研究開発費を当初27億円としていたものを335億円に増額した。地上・艦艇・航空機から発射可能なミサイル。2025年度配備予定。

三菱重工のミサイルは小牧北工場で造っているので新たな長距離ミサイルも同工場で造ると思われる。

川崎重工が2018年度から開発を進める新型対艦ミサイルは射程距離2000kmで2022年度までに試作品を作り性能検査を行うと言います。

JSM(防衛省ホームページより)

JSM(防衛省ホームページより)

すすむF35戦闘機の生産! 広がる騒音被害!

F35戦闘機に関わり、県営名古屋空港に隣接する、三菱重工小牧南工場で最終組み立てが着々とすすんでいます。

コロナ感染症によって、中断されていた試験飛行が2020年10月に再開。エンジンの排気に燃料を吹きかけ加速させるアフターバーナーやハイレート??によって、騒音被害が急増しています。

F35戦闘機の試験飛行 騒音マップ

2.海外での武力行使 愛知が拠点に!?

 海洋進出を強める中国を封じ込めるとして、英軍が空母を東アジアに派遣すると発表(2021年2月日英2+2)しています。報道によると、米軍・自衛隊との共同演習の実施、三菱重工小牧南工場で艦載のF35Bを整備できるか調整しているとのことです。海外での武力行使に愛知が拠点にされようとしています。

名古屋港の軍事利用

名古屋港や三河港(蒲郡埠頭、豊橋神野埠頭)には、自衛隊艦船が毎年寄港しています。

名古屋港

名古屋港には自衛艦や米軍艦船が入港しています。名古屋港管理組合は、軍艦も商船も区別せずに入港を受け入れており、核搭載の可能性のある米軍艦船には非核証明がないと入港させない「神戸方式」の運用が求められています。
護衛艦「いずも」は近年たびたび入港して多くの県民が乗艦し、若者の自衛隊員募集の広告塔として利用しています。戦争法(安保法制)が成立してからは、自衛隊と米軍の共同訓練の一環として、米軍がチャーターした輸送船が入港し、装甲車や燃料輸送車などの荷役が行われました。また、自衛隊の北海道演習にもチャーターした民間フェリーを使って兵器を輸送しています。名古屋港は水深があり、港湾設備も整っていることから、有事の際に使用される可能性が高まっています。

三河港

三河港には近年、護衛艦や潜水艦、掃海艇などが入港し、一般公開が行われています。

2016年の海フェスタ東三河では、イージス艦「こんごう」が入港しています。

伊勢湾では機雷戦訓練、掃海訓練が毎年行われてきましたが、2019年には演習としては初めて日米共同訓練を行いました。それ以降2020、21年と連続して行われており、自衛隊艦艇20隻や航空機も参加しています。

3.「殺し殺される」訓練 陸上自衛隊

愛知県には陸上自衛隊の駐屯地が3ヶ所あります。このうち守山駐屯地(名古屋市守山区)には第10師団司令部が置かれ、東海北陸6県の部隊を指揮管轄しています。第10師団は海外有事に即応する戦略機動部隊として再編され、海外派兵を前提とした武器の配備と訓練を行っています。特に戦争法(安保法制)のもとで、実戦的な激しい訓練を行っています。また、各駐屯地では数十人が銃を構え、引き金に指をかけた態勢で市街地行軍訓練を行っています。

守山駐屯地では、市街地戦闘訓練や宿営地の共同防衛の訓練を県内や東富士演習場、饗庭野演習場(滋賀県)などで行っています。師団記念行事で行われる訓練展示(模擬戦闘)では、敵との戦闘で自衛隊員が負傷し、救出に行く訓練が公開されます。こうした訓練は日常的に行われており、「殺し殺される」戦闘の最前線に自衛隊員を送り出すことを前提としたものです。守山駐屯地には、生物・化学・核に対応した特殊武器防護隊も配備されています。

春日井駐屯地には後方支援連隊や施設大隊などの部隊があり、イラク戦争をはじめとした海外派兵の主力部隊として何度も参加しています。後方支援連隊は戦場の最前線に武器や弾薬、食料や水を輸送し、兵器の保守や医療・衛生活動を行います。施設大隊は陣地の形成や架橋、地雷の敷設などを行います。有事の際、集団的自衛権を行使する事態になれば、米軍への後方支援など戦闘に直結する任務を果たすことになり、相手からの攻撃対象になります。

戦闘で捕虜になった自衛隊員と死傷者

銃を構えて行軍する自衛隊員

戦闘で負傷した自衛隊員

4.戦争する国づくり」の人的側面 自衛官募集

住民基本台帳個人情報提供の現状

2019年月、安部前首相が国会で自衛官募集に関わって、住民基本台帳の情報提供が少ないことを理由に「6割の自治体が非協力」として改憲を呼びかけました。
日本平和委員会の調査では、2020年6月の時点で全国の政令都市20の内、少なくとも10の自治体が「情報提供」を行っていました。愛知県平和委員会は、県下54自治体にアンケートを行い以下のような結果を得ました。

  • 情報提供自治体は21、(紙媒体17、宛名シール3、電子媒体1)
  • 抽出閲覧自治体は25

この結果を受け、愛知県平和委員会は情報提供の中止を求め、自治体への申し入れを始めました。すべての自治体を回ることを念頭に、現在約半数の24自治体に働きかけています。

この申し入れの中で、安部演説から2020年春までの間に防衛大臣・愛知地方協力本部から再三の働きかけが行われたことも判明しています。

問題点

  • 自衛隊法97条では、自衛官募集事務を行うことを規定しているが、どこまでやるかは自治体の判断に任されている。
  • 自衛隊法施行令120条では、募集に関する資料提出を求めることは出来るが応じる義務はなく、自治体が判断できる。
  • 住民基本台帳法第11条では、法令で定める事務の遂行のために必要な場合に限り、国による住民基本台帳データの一部について閲覧を認めているが、あくまで「閲覧」を認めているだけで、「提供」まで認める根拠は存在しない。